社会、経済の変化が激しい現代、企業人事は、率先して変革を推進する主体であるとともに、事業部門のビジネス・パートナーとして、ビジネスに貢献することが求められています。
また、「ESG経営」が注目される昨今、企業の業績や生産性向上に人事がどのように貢献しているかを見える化し、「人的資本」に関する具体的なエビデンス・データを投資家や経営陣に開示する取り組みが、より一層求められるようになってきました。HRテクノロジーと人事ビッグデータの活用は、いまや世界標準の大きなトレンドになりつつあると言えるでしょう。
「HRテクノロジー大賞」(後援:経済産業省、産業技術総合研究所、情報処理推進機構、中小企業基盤整備機構、株式会社東洋経済新報社、株式会社ビジネスパブリッシング、HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研(ProFuture株式会社))は、日本のHRテクノロジー、人事ビッグデータ(アナリティクス)の優れた取り組みやサービスを表彰することで、この分野の進化発展に寄与することを目的に、今年第8回が開催されました。
「地方活性賞」では地方活性化に繋がりうる取り組みやサービスを、また前回から新設した「人的資本経営部門」では人的資本経営の推進に資する取り組みやサービスを表彰します。
第8回の応募総数は85事例で、厳正な審査の結果、その中から24事例が選ばれました。
【審査委員】 |
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【授賞式概要】 |
開催名 :「第8回 HRテクノロジー大賞」授賞式 開催日時:2023年9月22日(金) |
価値創造モデルに沿った人事施策を展開し、人材KPIを明確に設定・開示することで、目指す経営戦略の実現を推進。デジタルHR推進室の新設による、データドリブンな人事推進体制の整備や、可視化ツール”人事総合表”を用いたリアルタイムでの人材KPIの進捗把握等に取り組みました。これによりKPI達成に向けた主体的なアクションを促し、女性総合職の海外・国内出向経験割合や、男性の育児休暇取得率・取得日数などのKPIにおいて、明確な向上が見られるなど、総合的に優れた取り組みであると高く評価されました。
パルスサーべイの実施や、ストレスチェックと業績評価のデータの掛け合わせ分析など、個人・組織のコンディションチェックを徹底。また、BIツールを用いて人的生産性に関するデータをタイムリーに可視化し経営陣との議論に活用するなど、データドリブンに組織の生産性向上に取り組みました。これらの施策により、カルチャーアンマッチによる退職者は前年比45%減、マネジメント視点で生産性が向上した割合は前年比55%増、エンゲージメントスコアは前年比9%向上するなど、着実に成果をあげている優れた取り組みであると高く評価されました。
『アシックスヘルスケアチェック』は、38項目の心身状態を数値化・分析し、個々に合わせた健康増進プランを提供するサービス。測定結果をもとに、個人や組織の健康状態を詳細にデータ化し、さまざまな属性で分析することで、現状の把握、明確な目標の設定、具体的な健康推進施策の策定を可能にします。社員のWell-beingと心身の健康推進に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
全社員対象にキャリア自律の行動に関するサーベイを実施するとともに、他社比較のために社外の1千人に対しても同様のサーベイを実施。また、キャリア自律度を可視化するために独自の尺度を開発するなど、データに基づく社員へのキャリア実現支援施策に取り組みました。データの示唆に基づく研修を全管理職に実施し、その結果、上司と部下のキャリア対話の実施率は97%に到達。キャリア自律のサーベイ肯定回答率も着実に増加する等、キャリア自律を推進してエンゲージメント向上につなげる優れた取り組みであると高く評価されました。
DX人材育成サービス『SIGNATE Cloud』は、独自のデータリテラシー計測テストにより研修成果を可視化するとともに、自社ニーズに合わせてカスタマイズが可能な講座コースを提供。また、ゲームライクなUI/UXにより学習意欲を引き出し、社員の学びを促し、大手企業を中心に累計450社、65,000人以上が利用するなど、DX推進を担う人材育成に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
多様な人材を惹きつけ、challengerを採用することを目的に”アンバサダー”という専門のジョブを新たに設置。独自開発のピープルアナリティクスAIを用いてビッグデータより経営状態を見極め、将来に必要なジョブをデータドリブンに一から設計しました。心理的安全性がある空間をデザインできるアンバサダーを面接やオンボーディングに取り入れた結果、従来と比較して候補者がwell-beingを感じられただけでなく、企業ブランディングにもつながりました。新たなジョブの定義とデータ活用により、多様な人材の獲得と活躍促進に資する優れた取り組みであると高く評価されました。
『タレント・セレクション・エコシステムズ』は、事業戦略と人事戦略の整合を支援し、優れた人材の採用を実現するサービス。事業戦略に基づく人材要件設計アプリや構造化面接を学習するEラーニング などを提供し、迅速な選考プロセスの設計・運用を実現します。これにより、採用関係者の時間・労力・コストを削減するとともに、優秀な人材の採用と適切な配置を支援します。人材採用の効率化と組織全体の生産性向上に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
今回の授賞企業はございませんでした。
『exaBase DXアセスメント&ラーニング』は、DXの初心者から推進を担う人材までを対象としてアセスメントと育成コンテンツを提供するDX推進プラットフォーム。アセスメントスコアをもとに、数千以上のコンテンツからAIによってパーソナライズされた学習コースを提供します。知識のインプットだけでなく、実務学習の場の提供と、アセスメントによる可視化で、企業のDX推進に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
今回の授賞企業はございませんでした。
『ミイダス』は、活躍可能性に焦点を当て採用・転職におけるミスマッチを減らしながら入社後の活躍をサポートする採用・転職サービス。独自の「可能性診断」を通じて求職者の行動・思考の特徴を可視化するとともに、自社で活躍する可能性の高い人材に対して自動でスカウトを送信することができます。経験やスキルだけでは出会えなかった求職者と企業とを結びつけ、ミスマッチを避けながら採用機会を拡大する優れたサービスであると高く評価されました。
同社は、従業員が在籍期間中に生み出す価値を、LTV(Life Time Value)と捉えて公式化・定量化し、人的資本への投資対効果を分解・管理しています。独自開発の人材マネジメントシステム『ヒトログ』の活用によるデータドリブンな人事施策は、年間昇給率、離職率、従業員満足度などの改善に貢献しており、これらが斬新かつ優れた取り組みであると高く評価されました。
『SkillPalette』は、従業員の商談力に対するスキル評価、課題抽出、学習環境、OJT環境を一貫して提供するラーニング・アナリティクスSaaSプラットフォーム。ロールプレイやロールプレイや商談動画のAI分析を通じて、個々のスキルレベルを評価し、課題を明確化することで、効率的かつ効果的な人材育成を支援します。売上実績の向上や教育コストの削減など、企業のビジネスパフォーマンス向上に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
人財マネジメント戦略の一環として、人的資本の可視化とデータドリブンな経営を実現するため、人的資本ダッシュボード及びエンゲージメントサーベイシステムを構築。Microsoft PowerBIとQualtrics社のテクノロジーを活用し、人財データの即時参照・取得を可能にしています。これにより役員から現場までのスピーディな意思決定を実現するなど、人財戦略部が全社観点での各部門の支援/コンサルティングを行うことを可能にする優れた取り組みであると高く評価されました。
『はたLuck』は、店舗スタッフの行動データを分析し、労働生産性の低下要因を可視化するサービス。店舗運営で必要な業務を改善するためのあらゆる機能を1つのアプリに集約し、「はたLuck ID」を通じて業務行動データを取得することで、店長の管理状態やスタッフの業務貢献度、人間関係を可視化します。これらの機能により、店舗の業務効率化とスタッフの働きがいの向上を支援する優れたサービスであると高く評価されました。
『CoachHub』は、それぞれの従業員にパーソナライズされたデジタルコーチングを提供するサービス。認定されたトップクラスのコーチをAIマッチングで選択し、無制限のコーチングセッションを提供することで、一人ひとりの成長を伴走支援します。既に1,000社を超える企業で利用されており、個々のオーナーシップを引き出し、組織の生産性向上に大きく寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
『mediment』は、多言語医療支援を可能にするクラウド健康管理システム。予防医療から臨床現場まで一気通貫して多言語でプロダクト展開することで、企業人事部が外国人を含む多様な従業員に対して、健診、ストレスチェック結果のデータ管理や分析、産業医療職と従業員のコミュニケーション支援などを行うことを可能にしています。国内で働く外国人に対して、適切な医療サービスを提供できるようにすることで、外国人の就業環境改善に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
『ADVANTAGE HARMONY』は、休業者管理業務の効率化と休業者の円滑な復職の両立を実現するシステム。自動化されたスケジュール作成による業務効率化や、休業者との繋がりを保つコミュニケーションツール、復職後の両立支援など、休業者と企業双方に配慮してシステムが設計されています。休業者へのこまめな対応を可能にし、企業の健康経営に寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
データに関する業務を希望する就労支援事業所とDXを推進する企業等をマッチングし、データワークを受託・実施するプラットフォームを提供。利用者の特性に合わせた業務の提供と、データワークの構造化やガイドライン化、サポート体制の整備により、障がい者の選択肢を広げるとともに、各地のデジタル人材確保を支援し、地方活性化にも寄与する優れたサービスであると高く評価されました。
『oplus』は、シンプルで直観的な操作性でDXを実現し、ブラウザ・スマホ・アプリの全てに対応したシフト・勤怠管理DXサービス。 シフト管理を行う上で必要な出勤要請・労務管理・概算人件費計算・自動シフト作成機能を備えるとともに、 紙で提出されたシフト希望をシステムに取り込む機能の開発など高齢者の多い現場への対応も進め、現場担当者の工数削減に寄与する優れたサービスであると評価されました。
『JPort』は、若手外国人材キャリアプラットフォーム・コミュニティとして、日本の大学・大学院で学ぶ外国籍留学生が多数登録。人事向け英日バイリンガル採用広報サイト『JPort Match』を運営し、企業は英語ができなくても採用広報~母集団形成が実現できるなど、優れた外国人学生の採用サービスであると評価されました。
『HireRoo』は、問題群の中から最適なものを選ぶだけで最短1分で試験を発行ができるコーディング試験サービス。AIによる採点で自動的に定量評価することで、客観的に候補者のスキルを判断でき、エンジニア採用のミスマッチ防止に寄与する優れたサービスであると評価されました。
気軽に使い続けながら従業員エンゲージメントを高められる社内イントラネット『グロウディアずかん』を自社開発。一番の目玉である「社員ガチャ」では、意図せずとも多くの従業員の情報に触れるとともに、付与ポイントを自社に関連するものに交換可能とすることで業務理解の一端を担います。アンケート回答者の9割以上がサイトに満足と答えるなど、社内で必要不可欠な存在となっている、優れた取組みであると評価されました。
『Aidemy Business/Aidemy GX』は、DX/GXを実現する先端技術に特化したオンライン学習プログラム。累計400社以上、22万人以上のユーザーに利用され、多くの社員のDXリスキリングに貢献。環境技術や持続可能性に関連する分野の人材育成にも寄与しており、DX/GXの優れたサービスであると評価されました。
『論理的文章力トレーニング for Business』は、ビジネスシーンで必要とされる論理的文章力を数値化するアセスメントツール。検定事業のノウハウを生かし、企業の昇格要件や階層別研修などで導入され、一般的な研修サービスでは可視化が難しい学習効果の定量把握も可能とする優れたサービスであると評価されました。
『Official-Alumni.com』は、企業向けのアルムナイ(退職者)専門サービス。日本の幅広い業界の企業に導入され、アルムナイとの協業や人材開発での活用、再雇用が生み出されており、退職の価値観を変容させる革新的なサービスであると評価されました。
名称 | 第8回 HRテクノロジー大賞 |
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主催 | 「HRテクノロジー大賞」実行委員会 |
後援 | 経済産業省、産業技術総合研究所、情報処理推進機構、中小企業基盤整備機構、株式会社東洋経済新報社、株式会社ビジネスパブリッシング、HRテクノロジーコンソーシアム(HRT)、HR総研(ProFuture株式会社)
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審査委員 |
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 多摩大学大学院 教授 (学長補佐)/株式会社ライフシフト CEO 法政大学大学院 教授 ProFuture株式会社 代表取締役社長、HR総研 所長 |
応募対象 | 日本国内で企業活動を行っている企業(外資系含む)、団体の「人事部門」、 および「サービス提供会社」 |
応募条件 |
採用、人材育成、アセスメント、労務管理、人材マネジメント、タレントマネジメント、 業務効率化・高度化などの領域におけるHRテクノロジー、ビッグデータを活用した取り組みであること。またはそれらの提供サービス。 ※「人事部門」の応募の場合、自社開発ではなく、他社より提供されるサービスを活用した取り組みで構いません。 |
審査方法 | 提出された応募書類をもとに審査評価基準に沿って総合的に審査 |
審査評価基準 |
※サービス提供会社の場合には、ユーザー企業に対して上記審査基準を提供できているかを審査します。 |
賞の種類 |
※第7回から「人的資本経営部門賞」を新設しました!以下の観点に注目し、これらに資する取組みであるかを審査のポイントとします。
※「地方活性賞」により全国の地方活性化を応援しています! |
授賞特典 | 表彰状および盾を贈呈いたします。 また、授賞ロゴマークをデータで提供いたします。 WEB、印刷物等に掲載することで、採用広報や製品アピールにご活用いただけます。 |
授賞式 | 2023年9月22日(金) |
応募方法 |
【1】まずは事前にエントリーフォームにアクセスし、必要項目を記載の上、エントリーください。 ※添付資料がある場合は、以下の条件をすべて満たしていることをご確認の上、 <添付ファイル条件> ※応募書類は返却致しませんので、予めご了承ください。 |
募集締切 | 2023年5月26日(金)13時 |
発表 |
各賞の授賞者には、7月10日までに授賞の旨を直接連絡。 |
公表 | 『週刊東洋経済』、『月刊人事マネジメント』、『HRプロ』ほか |
お問い合わせ先 | ProFuture株式会社内 「HRテクノロジー大賞」事務局 E-mail:hrtech@profuture.co.jp |