経済環境の激しい変化、少子高齢化、グローバル化が急速なスピードで進む中、企業人事は、環境変化にキャッチアップするだけでなく、率先して変革を推進する主体である必要があります。また、ビジネスへの貢献の視点で、人事部門が事業部門のビジネス・パートナーとなることが求められるようになってきています。
これまで人事領域では、得てしてエビデンス・データの乏しい感覚的なものに左右されがちでしたが、最近では、具体的なエビデンス・データを出し、企業の業績や生産性向上に人事がどのように貢献しているかが求められるようになってきています。そうしたなかで、近年、HRテクノロジーと人事ビッグデータの活用が大きな注目を集め始めています。
「HRテクノロジー大賞」(後援:経済産業省、株式会社東洋経済新報社、株式会社ビジネスパブリッシング、HRテクノロジーコンソーシアム(HRT)、ProFuture株式会社)は、日本のHRテクノロジー、人事ビッグデータ(アナリティクス)の優れた取り組みを表彰することで、この分野の進化発展に寄与することを目的に、今年第4回が開催されました。
第4回の応募総数は53事例で、厳正な審査の結果、その中から21事例が選ばれました。
【審査委員】 | ・慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授 岩本 隆氏(委員長) ・多摩大学大学院 教授・経営情報学研究科長/フライシュマンヒラード・ジャパン SVP・パートナー 徳岡 晃一郎氏 ・ProFuture株式会社 代表取締役社長CEO/HR総研 所長 寺澤 康介 |
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【授与式概要】 | 開催名 :「第4回 HRテクノロジー大賞」授与式 開催日時 :2019年9月19日(木)18時20分〜 開催地 :赤坂インターシティコンファレンス 所在地 :東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 3F ※9月18日(水)より開催の日本最大級の人事・経営者フォーラム「HRサミット2019/HRテクノロジーサミット 2019」内のプログラムとして開催されます。 |
対象国20か国を超える規模で、グローバル共通のデータモデル・プロセスを策定することにより、全世界共通の人事データ統一基盤(HCM)をわずか1年で構築。対象国20か国の人事が協働して導入を進めたことで、採用・タレント管理・評価・ラーニング・経費管理を1プラットフォームで順次実現しているなど、データに基づいた判断材料を提供する人事システム刷新への取り組みが高く評価されました。
多様なワークスタイルを可能にする制度の導入を支援し、介護や育児を抱える優秀層の採用や、生産性の向上に寄与している。Office 365のログインID、パスワードで主要なSaaSサービスへのアクセスを可能とし、高機能な会議、チームコラボレーションツール、業務システム導入など、リモートワークを実現するためのセキュアなクラウドインフラ環境を、自社開発ゼロ・既存サービスの組み合わせだけという低価格なコストで実現している点が高く評価されました。
従業員自身の様々な生活データ(食事・運動・睡眠・服薬・行動様式など)をインプットとして、身体内で起こり得る影響を生体シミュレーションモデルとして数式化し、そのデータを日々更新し続けることで、従業員に起こり得るであろう身体的・体調的な変化を予測することに成功。リアルタイム性・定量性・固有性の高い健康管理モデルを提供することで、従業員のパフォーマンス向上を実現する点が高く評価されました。
11年連続シェア第1位の新卒採用向け採用管理システム「i-web」に、AIエンジンとオンライン面接機能を搭載。国際規格に準拠したセキュアな環境で、i-webが保有する応募者のビッグデータに基づき、企業とのマッチング度・志望度を科学的に予測したり、専用アプリケーションや別システムとの連携不要で、複雑な操作なくオンライン面接を実現する点が評価されました。
2015年に国内で初めてリファラル採用の概念を提唱し、活性化させるクラウドサービスを提供。社員が自社のファンになるための社内広報機能として、社員の興味度合いや紹介状況を可視化し、いつ・誰に・どんな内容を配信するかをサジェスト。あらゆるデータをトラッキング・分析し、自動で社員のセグメントを分け、ターゲットごとに文面のサジェストや適切なタイミングでの予約配信を可能にするなど、リファラル採用を促進するための様々な技術的アプローチが評価されました。
日本人のグローバルリーダーを早期発見、育成するため、世界で成功するリーダーの行動研究をもとに開発されたオンライン・シミュレーションアセスメント。「いつでも、どこでも、世界の主要な言語」で受検でき、インタラクティブに行えるデジタル技術を活用している。また、アセスメントレポート(個人、上司用)もアセッサー(評価者)が演習でみられた主要行動をインプットすると、自動で数百のパターンの中からその参加者ごとにパーソナライズされたレポートができるようプログラミングされている点などが評価されました。
スマホ、PC、アプリ等利用シーンに合わせたデバイスで、書籍やビジネススクールで培った良質なコンテンツや、ビジネストレンドをいつでもどこでもマイクロラーニング設計で学ぶことができる学習サービス。自然言語処理のAIを駆使した演習問題を用意し、受講者の入力した記述内容の解析から、回答への解説や次の設問などの出し分けを可能にする取り組みに挑戦するなど、受講者の学習効率の向上と高い満足度を実現している点が評価されました。
社員が最大のパフォーマンスを発揮できるよう、人生の充実(ワークライフインテグレーション)に寄与することを目的として、大学と共同でパルスサーベイを開発。パーソナライズされたフィードバックや、将来的な各種リスク予測を想定し、仕事の状態だけでなく、生活・健康面も含めた統合的な充実を計測できるサーベイを独自に開発した点が、評価されました。
人材育成・評価・後任計画などのタレントマネジメントと、採用、人・組織・配置計画などの国内外の人事業務を1つのデータベースで統合的に管理・運用することで、働く人と企業のパフォーマンスを最大化。ポイントソリューションではなく、各人の入社から退社までのライフサイクルすべてをマネジメントできる「統合クラウド・タレントソリューション」としての独自性が評価されました。
個々の社員のエンゲージエントを重視し、グローバル数万人規模で年2回のサーベイを実施。Glint Inc社のサービス導入だけでなく、独自に行った多変量解析による設問設計を行うなど、社員の匿名性を担保しつつ、アナリティクスの力で他の人事施策との相関を分析することで、「科学する人事」として社員とマネジャーに寄り添う取り組みが評価されました。
「従業員のワークスタイル」に関する大量かつ複雑なデータを、高度な分析スキルを持たない社員でも、ダッシュボード上でのシンプルなクリック操作のみで把握・分析できるシステム。人事データと連携させて生産性向上やエンゲージメント向上のガイダンスを実現するなど、人事主導の人事管理から現場主導のピープルマネジメントへの転換を後押しする点が評価されました。
人や組織の人的資産を定量評価する「Human Capital Point(HCP)」を開発。HCPは個々の経験値を独自アルゴリズムで定量化した値であり、人材の質や組織の質をスコア化することができる。組織として保有するHCPを最大化させるため、AIを活用して効率的にHCPが向上する人事施策の実行に取り組む姿勢が、経験や勘に頼らない、再現性の高いマネジメントとして評価されました。
12万人以上の評価ビックデータから、人事評価業務に必要な項目を点数化し、評価者の能力を可視化するだけでなく、評価者へのフィードバック文章もAIが自動作成する「評価モニタリングAI機能」や、人の手による20万件以上の目標添削ビッグデータを基に、目標設定の修正必要箇所をAIが指摘して、より具体的な目標を設定し、個人の行動改善を促す「目標添削AI機能」など、評価者の育成と業務の効率化をビックデータとAIにより実現した点が評価されました。
社員の適切な管理のための情報(勤怠情報、業務内容)を、一括してリアルタイムで管理。「着席中」のみパソコン画面をランダムにキャプチャする特許技術や、退席中、一定時間の経過でPC画面をロックすることで「隠れ勤務」を抑止する機能など、安心してテレワークを推進できる機能の実現が、働き方改革の実現に貢献すると評価されました。
組織と個人双方へのトータルアプローチを実現し、健康経営のトータルサポートをするサービスとして、フィジカルとメンタルの体調管理だけでなく、「会社が好き・仕事が楽しい」というエンゲージメントを加え、これらの観点から課題の可視化/現状把握・分析/施策立案・行動変容までを実現。行動変容のソリューションであるアプリではAI テクノロジーを駆使し、またウェルネスサーベイではエビデンスをもとにした分析により、定量的で精緻な観測を可能にしている点が、健康経営の推進に貢献すると評価されました。
煩雑化していた採用コミュニケーション工程(口頭、システム、Excel、紙等)を分解し、オートメーション化(アナログ等)の可否や関係者の情報アクセシビリティという観点で再設計。2割に及ぶ工数を削減した。結果、属人的なフローを定型化・情報の一元化に成功した。こうしたテクノロジー導入の取り組みからワークライフマネジメントを促進し、少人数で前年比2倍以上の高効率労働を見据えた女性管理職の採用に繋げた点が評価されました。
人財開発を目的に、「タレントマネジメント会議」を新設。より多くの部門を巻き込んだ議論、部門を超えたデータ共有 、デジタル技術の活用を進め、より科学的根拠をもった人財開発の推進に取り組んでいる。「人財開発へのデジタルマーケティング活用」を目指した施策が、有効な孤立データの再発見や隠れた課題の再発見につながるなど、今後の取り組みに期待できる点が評価されました。
場の雰囲気や盛り上がり、人間同士の親密度など、これまでデジタル化できなかった情報を計測・判別し、それらを可視化・データ化するプラットフォームを自社開発。各所に配置したセンサで、ヒトやモノの関係性等のセンシングを可能にした。これにより、音声データから抽出した特徴量を用いて、「ヒト – ヒト」の関係性情報による統計的解析により、入社意欲を高める因子を特定し、採用フローを改善するなど、今後の発展に期待できる点が評価されました。
応募者へのアンケート依頼・回答・分析結果の閲覧などを一気通貫で実施でき、面接前に応募者の思考パターンや行動原理、似たタイプの社員を抽出することなどを可能にするクラウド型人材分析ツール。約17000パターンの候補者ペルソナに合わせた口説き方の提案や、独自のマッチングアルゴリズム、面接官が成果を上げられるユーザビリティ、世界初のキャンディデート・エクスペリエンス(候補者満足度)に特化した設計などの先進的なテクノロジーが評価されました。
マネジメントというものが属人的なものに陥っていた理由として、誰が(上司)、誰の(部下)、どのような状況において、どのように関わり、それを部下がどのように感じたか、という項目の曖昧性が挙げられる。これらの要素を、脳科学や独自のUX・UIを用いてデータ化し、目的に資する状態にまでプロダクトとして成立させている。また、マネジメントナレッジのプラットフォームとして、個人に眠っている知見が広く展開される状態を創出した点が評価されました。
約100万件の技術キーワードや約2.5万件の研究室・教員データベースなど、国内最大級の技術系データベースとAIを活用し、就職したい理工系学生と、採用したい企業をマッチングするサービス。自社に興味を持っていない学生に対してもオファーメールを配信でき、従来の手法ではなかなか出会えない優秀な理工系学生へのアプローチを可能にするなど、採用にイノベーションを創出する可能性への期待が評価されました。
名称 | 第4回 HRテクノロジー大賞 |
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主催 | 「HRテクノロジー大賞」実行委員会 |
後援 | 経済産業省、株式会社東洋経済新報社、株式会社ビジネスパブリッシング、HRテクノロジーコンソーシアム(HRT)、ProFuture株式会社 |
審査委員 |
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授 多摩大学大学院 教授・経営情報学研究科長、フライシュマンヒラード・ジャパン SVP・パートナー ProFuture株式会社 代表取締役社長、HR総研 所長 |
応募対象 | 日本国内で企業活動を行っている企業(外資系含む)、団体の「人事部門」、および「サービス提供会社」 |
応募条件 |
採用、人材育成、アセスメント、労務管理、人材マネジメント、タレントマネジメント、 業務効率化・高度化などの領域におけるHRテクノロジー、ビッグデータを活用した取り組みであること。またはそれらの提供サービス。 ※「人事部門」の応募の場合、自社開発ではなく、他社より提供されるサービスを活用した取り組みで構いません。 |
審査方法 | 提出された応募書類をもとに審査評価基準に沿って総合的に審査 |
審査評価基準 |
※サービス提供会社の場合には、ユーザー企業に対して上記審査基準を提供できているかを審査します。 |
賞の種類 |
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授賞特典 | 授賞式にて、顕彰状、盾を贈呈いたします。 |
授賞式 | 2019年9月19日(木)予定 |
応募方法 |
専用応募用紙をダウンロードし、必要事項をご記入の上、「HRテクノロジー大賞」事務局まで郵送、またはメール添付にてご提出ください。添付資料がある場合には、応募用紙と併せてご提出ください。 ※応募書類は返却致しませんので、予めご了承ください。 |
募集締切 | 2019年5月31日(金)13時 |
発表 |
「第4回 HRテクノロジー大賞」の各賞の授賞者には、7月10日までに授賞の旨を直接連絡。 |
公表 | 『週刊東洋経済』、『月刊人事マネジメント』、人事向けポータルサイト 『HRプロ』、経営・ビジネスの課題解決メディア『経営プロ』 |
応募先・お問い合わせ先 | 〒107-6123 東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル23F ProFuture株式会社内 「HRテクノロジー大賞」事務局 TEL:03-3588-6711 E-mail:hrtech@profuture.co.jp |