新型コロナウイルス、オンライン説明会、オンライン面接、通年採用、
インターンシップ、早期選考会、AI採用、ジョブ型採用、逆求人、
お祈りメールなど、様々なキーワードが飛び交った
2023年春入社に向けた就職・採用戦線。
厳選なる審査を通過したユニークな入選作品を発表します。
※川柳・短歌、雅号は、原則、応募者の表記のまま掲載していますが、固有名詞表記など一部につきましては事務局にて加筆をしております。
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自宅でのオンライン面接が当たり前になった今、「家族から率直なアドバイスがもらえる」や「普段の自分と面接でアピールする自分のギャップを指摘される」という、自宅でのオンライン面接ならではの「家族からのフィードバック」に苦笑する、作者の心情を見事に表した作品である。
これからは、自宅でのオンライン面接において「壁に耳あり、障子に目あり」という言葉の重みが増していくのかもしれない。
面接で多くの人が不安を感じる沈黙と、オンライン特有の回線問題が組み合わさった、現代ならではの就活での不安を凝縮した作品である。仏頂面のままの面接官はさぞ怖かったことだろう。
自分の目で見た情報と現実が違うことは恐怖であるが、本物を見分ける力が重要なのかもしれない。Z世代は本物志向といわれるが、果たして画面フリーズを見分ける目はあるのだろうか。
学生と採用担当者、双方の困った感情、表情を男女関係に例えて表現した、ストレートでありながら非常に共感性の高い秀逸な作品である。
採用担当者の思いとしては「相思相愛だと思っていたのに誤解があるなら解きたい、内定承諾して戻ってきてほしい」と引き止めに必死なのだろうが、得てして別れを決めた人の心は既に前を向いているもの、という学生の立場も理解してあげたい。
オンライン面接が主流となった今でも、10分の面接のために遠方からわざわざ学生を呼んで「対面」面接にこだわる企業があることに驚く。移動時間と面接時間の明確な対比によって上手く表現できている作品である。人を思いやる力や想像する力を問われているのは、学生ではなく、むしろ採用担当者の方だろう。
「来年必ず入社したい」という切実な願いを、社会人特有の言い回しと掛け合わせて端的に表現したユニークな作品である。
期待と不安が入り混じる採用面接の現場で、ハキハキと受け答えする就活生の様子が臨場感をもって浮かび上がってくる。きっと面接官にも作者のまっすぐな思いが届いていることだろう。
「SPI2」と並ぶWEBテストの1つである「玉手箱」を、おとぎ話「浦島太郎」のストーリーに重ね合わせ、WEBテストに向き合う作者の苦労や疲労を軽やかに表した作品である。
もしかしてWEBテストの命名者は本当におとぎ話から名前を取ったのではないかと思わずにはいられないが、もしそうだとすればかなりのブラックジョークである。
「益々のご健闘をお祈りします」という、不合格を告げるお祈りメールが来れば来るほど「不健康」になるという対比が面白い。はやる内定獲得への想いと、思うようにいかない現実のギャップに苦しむ、就活生共通ともいえる悩みを凝縮した作品である。
まず元気や体力が必要である。英気を養い、大半の悩みは取り越し苦労だと思って、あまり気に病まず前を向いていてほしい。
面接に生活が食い込んだ現代を印象的で共感性の高い家庭での一コマを使って表現した作品である。
「ご飯どうする?」という問いかけの前に、ドアのノックなど何かしらのサインがあればあらかじめミュートにできるが、多くの家庭ではそのような配慮を日常的にしていないだろう。
面接を受ける際には、指向性の強いマイクの付いたヘッドセットの着用をお薦めする。
自分の就活を振り返ってこみあげてくる達成感を、社会人特有の言い回しで表した作品である。
学生時代には使っていなかった「御社」、「弊社」という響きを自分の言葉にしており、学生から社会人への成長過程も窺うことができる素敵な一句である。後輩に「弊社は・・・」と自慢げに企業説明する姿が微笑ましい。
オンライン時代の処世術を自身の体験と重ね合わせて表現したユーモラスな作品である。
回線問題が日常になってもう久しいが、時間の経過とともに対処法が発達したり、状況を逆手に取ったアイデアが生まれるという時代の変化に共通した特徴をよく捉えている。以前、「固まったふりをする」という投稿もあったが、それと比べればまだ良心的か。
内定がまだ出ず、先行きが見通せない就活時期特有の漠然とした不安を、台風の気象予報と重ね合わせて、進むべき道が見えている台風を「さん」付で羨む気持ちを、率直かつユーモラスに表現した作品である。
予報上は方向がある程度決まっている台風の進路も大きくそれることがあるように、作者にも思わぬ進路が開けることを願ってやまない。
真剣勝負の面接の場で、面接官と向き合いつつも、愛着のある自分のぬいぐるみに目を向けることで緊張を和らげられたという、オンライン面接だからこそできる、何とも微笑ましい面接対策を上手く表現した作品である。
「相手の目を見て話す」という対面では基本的な所作も、オンラインではカメラの位置に左右されてしまう。時代の変化を肌で感じる一句である。
圧迫面接という非常に負荷のかかる面接で受けたストレスを、その企業の商品をフリマアプリで売り払って目の前から消すという、斬新かつ今どきの発散法を詠んだ作品である。
無形商材しかない場合はどう対処するのか作者の考えを伺ってみたくなる。 ぜひその斬新な発想や機転を生かし、これからも様々なストレスに立ち向かっていただきたい。
主 催 | HR総研(ProFuture株式会社)、「就活会議」(就活会議株式会社) |
募集期間 | 2022年6月21日〜7月7日 |
応募資格 | 2023年卒の「就活会議」会員 |
応 募 数 | 145作品 |
入 選 数 | 13作品 |
採用担当者がSNSも事前チェックする時代において、応募者が「パリピ(パーティー・ピープル:集まって楽しく騒ぎまくり、ときに周りに迷惑をかける若者)」だった事実を発見してしまうことで、人となりを想像し、つい身構えてしまう心情を見事に表現した作品である。
「パリピ」という言葉によってカルチャーフィットするのか不安になる気持ちが非常によく表現されており、この後の面接の結果が大変気になる。
AIの導入が浸透し始めた中でも、「採用領域」でのAIの導入はとくに進んでおり、面接やエントリーシートの合否など、AIを扱う人材をAI自身が判定するという循環が始まっている。ある意味滑稽な様子を風刺的に表した作品である。
AIと人間の立場が入れ替わっていく前兆が感じられ、「AIがAIに都合の良い人間を採用し始めたらどうなるのだろう」と、受け手の想像が大いに膨らむ点も見事である。
新卒の応募者に夢を聞く社員自身は夢など見失っており、死んだ魚の目をしていたという、人間が持つ矛盾やなんともいえぬ哀愁が感じられる作品である。
この採用担当者の入社当時の夢は何だったのだろうか、いつ夢破れてしまったのか、はたまた夢など持っていなかったのかと、想像が尽きない。
社会人として生き続ける現実の厳しさをも感じさせる、秀逸な一句である。
対面での面接実施も徐々に復活する中で、以前の面接と唯一違うのがアクリル板の設置である。確かに物理的な距離は縮まったが、内定承諾にいたる心の壁はアクリル板の厚みよりもはるかに厚かったという様子を詠んだ作品である。
体の距離と心の距離はいつの時代でも悩みの種であるが、この時代ならではの感性で鮮やかに表現されており、見事である。
学生たちが採用面接で話す企業研究の成果を、採用担当者の視点と一社員としての視点で詠んだ作品である。 就活生が想像しているよりも、現場の社員は自社を知らない場合が多いのかもしれない。
またその様子は、自己分析をしてもなかなか自分がわからない就活生の様子とも重なるところがある。
内定辞退の方法が電話からメール、それもテンプレートのメールに変わっている様子を詠んだ作品である。
これまでは、企業から学生への不合格メールをお祈りメールと呼び、不合格だったことを「祈られた」と表現する学生もいたが、時代は変わったようである。もうお祈りメールは学生が恐怖するものではなく、企業側が恐れるものになりつつある。学生の反撃が始まった。
大学に通えたのは1年生の1月までで、その後の2年以上を自粛して過ごしてきた23卒学生に、従来のような「ガクチカ」はない。「ガクチカ」を抜きに彼らを評価せざるを得ない、今の採用の難しさを詠んだ作品。
「ガクチカ」がないことを嘆くのは人事でない。むしろ学生本人こそ一番辛いことだろう。未だコロナ禍の収束が見えない中、新たな「ガクチカ」の表現方法を模索していく必要もありそうだ。
オンライン面接で自己紹介を聞いていた担当者が、就活生のカンニングペーパーに気づいてしまった様子を詠んだ作品である。
手に書いておくなどの手法をはじめ、カンニングペーパーは日々進化を遂げてきたが、ついに目線さえも気にしない強者が現れた様子がよく伝わってくる。いずれスマートグラスなどで見るようになるのだろうか。
対面での面接では、応答以外の所作や雰囲気は確認できるものの、マスク越しであるため全体の表情は確認できない。一方、オンライン面接であればマスクの着用はなく、顔全体の表情が確認できるはず。ところが、オンラインでかつマスクという二重苦を表現した作品。
表情を悟られたくないのか、化粧が間に合わなかったのか、自宅ではなく周りに人がいる環境だったのか。
転勤をなくすなど多様な働き方を認めようという動きが社会的に活発な中、以前は少なかった「なるべく住環境を変えずに働きたい」と主張する就活生の増加に、「甘いぞ」と言いたげな作者の悶々とする心情を詠んだ作品である。
「原則・在宅勤務」という企業も徐々に増え、「家のそば」どころか「家の中」という時代もそんなに遠くないかも。
採用活動に出遅れてしまった企業の窮状を、「もう終盤」と「母集団」で韻を踏んで表現した作品である。
通年採用の企業が増えつつあるとはいえ、まだまだ一括採用が主流な中、「母集団形成」は無視できない重要なファクターである。出遅れてしまったことに対する採用担当者の無念さや焦りが漂っており、思わず応援したくなる。
面接のオンライン化で顕著になった、就活生が個室を持っていないという問題を、「トイレで面接受験」という実際にあったシーンで表現した作品である。
必死に無音のプライベート空間を探した結果、トイレに籠るしかない学生と、それを微笑ましく見守る採用担当者の関係が興味深い。ところで、その間、家族はトイレを使いたくなったらどうしているのだろうか。
コロナ過が原因で売上が落ち込んだ企業には、政府からの保障(補助金)があるのに対し、人事部門にはコロナ禍の逃げ道はなく、内定辞退による採用計画数未達という窮地に瀕する現状を表した作品。緊急事態と緊急辞退(予想していなかった辞退)のかけあわせが面白い。どうかこの緊急事態(辞退)を脱することを願うばかりである。
主 催 | HR総研(ProFuture株式会社)、「就活会議」(就活会議株式会社) |
募集期間 | 2022年6月29日〜7月7日 |
応募資格 | 2023年卒採用を実施した企業の採用担当者 |
応 募 数 | 92作品 |
入 選 数 | 13作品 |
【お問い合わせ】
「2023年卒 就活川柳・短歌/採用川柳・短歌」に関するお問い合わせは、ProFuture株式会社 HR総研まで。
Mail. souken@hrpro.co.jp