HR総研×LabBase:理系学生(院生)の就職活動動向調査 結果報告

~条件面より仕事内容を重視、志望度高めるチャンスは「インターンシップ」にあり~
今年1~2月には、理系学生向け就活サイト「LabBase」(株式会社POL)と共同で「理系学生(院生)の生態」に関する調査をしたが、今回は、理系大学院生の「就職活動事情」について、就職活動が少し落ち着いた7月上旬のタイミングで調査を実施した。
理系院生の採用活動では、文系学生とは異なり、専攻に関連した職を志望する学生が多い点や、大学の研究と就職活動の両立で苦労する学生が比較的多い点など、特に配慮すべき特性がある。理系の学生が、どのような方法で情報収集を行い、どのような点を重視して企業を選んだのかなど、実際に就職活動を経験した理系院生に就職活動の実態を聞いた。
「専攻分野と入社予定の企業での業務内容の関連度」「どのようなタイミングで志望度が向上したのか」「どのような理由で選考・内定を辞退するのか」「リモート面接に対する印象」など、フリーコメントを含めて紹介する。

<概要>
●調査時点(2020年7月上旬)で8割の学生が就職活動を終了
●半数近くの学生が「修士1年6月」までに就職活動を開始
●学生は「オンライン面接のほうが良い」との意見が優勢
●情報収集のルートは企業ホームページ等のオフィシャル情報がメイン
●面接に至るルートは就職サイトからの応募が主流
●内定承諾の基準は条件面より事業内容や仕事内容を重視する傾向
●最も志望度が高まったタイミングは「インターンシップ」
●辞退理由は「社風が合わない」との回答が多数
●就職活動で苦労したことは「自己分析」が最多
●約半数の学生が入社予定企業でインターンシップに参加

調査時点(2020年7月上旬)で8割の学生が就職活動を終了

まず、調査時点(2020年7月上旬)での理系学生の就職活動の実状を見てみる。
「就職活動の状況」は、「就職活動を終了した」と回答した学生は81%に上り、大方の学生はこの時点で内定を得て就職活動を終了していた(図表1-1)。
「エントリー数」については、「4~6社」が最多で22%、次いで「1~3社」が19%、「10~14社」が17%などとなっている。また、「1~9社」と回答した学生の割合は54%と半数以上に上っており、エントリー時点である程度絞り込んでいる学生が多いことが分かる(図表1-2)。
面接社数については、「4~6社」が最多で29%、次いで「1~3社」が28%、「7~9社」が17%などとなっている。「1~6社」で57%と6割近くを占め、自ずとエントリー数より少ない傾向が見られる。また、10社以上の面接を受ける学生は少数派で、約4分の1にとどまっている(図表1‐3)。
さらに内定(内々定)を受けた社数については、すでに内定を受けている学生は94%に上り、そのうち複数の内定を持っている学生も54%と、半数以上となっており、コロナ禍での厳しい就職活動となった中でも、理系院生はかなり進んでいることがうかがえる。

【図表1-1】就職活動の状況

 

【図表1-2】エントリー数

 

【図表1-3】面接を受けた社数

 

【図表1-4】内定(内々定)を受けた社数

 

半数近くの学生が「修士1年6月」までに就職活動を開始

次に、理系学生の就職活動のスケジュールについて見ていこう。
「就職活動の開始時期」については、「修士1年6月」との回答が多く26%で、それ以前に開始した学生を合わせると46%と、半数近くの学生が修士1年6月までに就職活動に取り掛かっている(図表2-1)。これは3月調査結果から分かる文系学生の32%より14ポイントも高くなっており、理系学生、特に院生の就職活動が早期化していることがうかがえる。
理系に特有の「推薦応募の時期」については、「修士1年3月」が43%と4割を超え、圧倒的に多いことが分かる。推薦応募の時期としては、大学の推薦の時期だけでなく、企業の応募受け入れの時期の両方の要素が絡んでくる。現在の就職ルールである「3月採用広報解禁」を持って、企業側の受け入れが本格化したものと思われる。「4月」以降で急激に下がっている要因としては、緊急事態宣言の発令により、企業の採用活動にブレーキがかかってしまったことも一因として考えられる(図表2-2)。
第一志望を決めた時期については、「修士1年の2月」が18%で最も多く、「修士1年の3月」が17%で続く。1月から修士2年の4月にかけての期間にボリュームゾーンがある。多くの学生が修士1年6月から何らかの就職活動を開始していることを考えれば、第一志望を決定するまでにかなり時間をかけている。心に決めた企業が最初からある学生は少数派であり、ほとんどの学生が就職活動を進めていく中で少しずつ選択肢を絞っていくという過程が見て取れる(図表2-3)。
さらに内定時期については、1社目の内定時期は「修士1年3月」に22%で最初のピークがあり、その後「修士2年6月」に2度目の波があり18%となっている。「修士1年3月」までに内定を得ている理系院生は50%と半数を占め、理系院生の就職活動の進行の速さがうかがえる(図表2-4)。
しかし、入社予定の企業への内定時期についてはピークが若干ずれ、最初のピークは「修士2年4月」で22%となっており、「修士2年6月」のピークは29%と「4月」より大きくなっている(図表2-5)。早期に内定を得始めるとはいえ、自由応募の学生においては、自身が納得いく企業から内定を得られるまで、就職活動を粘り強く続けている学生が多いことが分かる。

【図表2-1】就職活動を開始した時期

 

【図表2-2】推薦で応募した時期

 

【図表2-3】第1志望を決めた時期

 

【図表2-4】1社目の内定時期

 

【図表2-5】入社予定の企業への内定時期

 

学生は「オンライン面接のほうが良い」との意見が優勢

今年の大きな特徴として、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、採用活動のオンライン化が急速に進展した点がある。面接についても、オンラインで行う企業が多い中、学生はどの程度オンラインでの面接を受け、どのような感想を抱いたのだろうか。
まず、「オンライン面接を受けた社数」については、「0社」との回答は10%にとどまり、9割の学生がオンライン面接を経験していることが分かる(図表3-1)。
「オンライン面接と対面型の面接のどちらが良かったか」については、「オンライン面接が良かった」が35%、「対面面接が良かった」が28%、「どちらとも言えない」が37%となっており、オンライン面接のほうが良いと回答した学生がやや多かった(図表3-2)。オンライン面接が良いとする理由としては、「交通費・時間がかからないため」という意見が多く見られるとともに、「メモを見ながら面接を受けられる」、「緊張せずに済む」といった意見も多く見られた。一方、対面型の面接が良いとする理由については、「熱意が伝わる」、「面接官の反応がわかりやすい」といったメリットを挙げる意見に加え、通信障害の不安など、オンライン面接での不安要素を挙げる意見も多く見られた(図表3-3)。

【図表3-1】オンライン面接を受けた社数

 

【図表3-2】オンライン面接と対面面接の印象

 

【図表3-3】オンライン面接/対面面接が良いと思う理由

回答 理由
オンライン面接 交通費も時間もかからないため
オンライン面接 過度に緊張せず済んだから
オンライン面接 自宅で受けられるため、スケジュール調整が容易。メモが見られる。
オンライン面接 対面で必要なマナーをあまり覚えなくてよく、楽だった。交通費が浮いた
どちらとも言えない 手間を考えると圧倒的にオンラインの方が良いが、選考フローがすべてオンラインで行われると不安感を感じる。序盤はオンラインで十分
どちらとも言えない オンラインでは落ち着いた場所で行えるので、落ち着いて話すという面ではとても良かったのですが、実際の会社の雰囲気などを知るのは難しいと感じました
対面面接 オンラインだと相手の反応が分かりづらい
対面面接 熱意が伝わりやすいと思ったから
対面面接 ネットワークの遅延による影響を受けずにすむため
対面面接 やはり、お互いに人となりや雰囲気が分かりにくい。1次、2次面接はオンラインで、最終面接だけは(感染症対策をした上で)対面で、という形が望ましいと思った
対面面接 オンライン面接だと通信障害のトラブルの恐れがあったり、余計な緊張を感じるから

 

情報収集のルートは企業ホームページ等のオフィシャル情報がメイン

ここまでは、理系学生の大まかな就職活動の状況やスケジュール等について見てきたが、ここからは、理系学生が具体的にどのようなルートで情報収集や応募を行い、どのような基準で入社企業を決定しているのかについて見ていきたい。
まず、「情報収集のルート」については、「企業のホームページ」が最多で88%、次いで「就職サイトの企業ページ」が84%、「就職クチコミサイト」が67%、「企業の評価サイト」が54%などとなっている。当然ながら、企業自身が発信しているオフィシャルな情報はほとんどの学生がチェックしていることが分かる。クチコミサイトや企業の評価サイトも多くの学生が参照しているものの、オフィシャルな情報源と比べればやや割合は下がる(図表4-1)。「最もよく利用した情報源」について尋ねたところ、「企業のホームページが」(44%)が圧倒的に多く、次いで「就職サイトの企業ページ」(29%)となっている(図表4-2)。企業ホームページ等のオフィシャルな情報源をメインに情報収集しつつ、クチコミサイト等は補助的に利用しているというのが実態だろうか。

【図表4-1】利用した情報収集のルート

 

 

【図表4-2】最もよく利用した情報収集のルート

 

面接に至るルートは就職サイトからの応募が主流

続いて、理系学生がどのようなルートで応募し、面接・内定に至るのかを見てみる。
「面接まで進んだ企業への応募ルート」については、「就職サイトを通じた自分からのアプローチ」が最多で71%、次いで「就職サイトを通じた企業からのアプローチ」が29%、「推薦応募」が28%などとなっている(図表5-1)。
次に「入社予定の企業への応募ルート」については、こちらも同様に「就職サイトを通じた自分からのアプローチ」が最も多く52%となっている。次いで「推薦応募」が24%となっており、入社企業ベースで見ると、推薦応募の相対的な存在感が増していることが分かる(図表5-2)。面接に進むためのルートとしては「就職サイトを通じた企業からのアプローチ」が「推薦応募」より上位にあるものの、やはり推薦応募の企業に対しては、より志望度が高いとともに、内定を得たらなかなか辞退しづらい実情もあり、入社にまで至るケースが多いことが見て取れる。ただし、近年増加しているダイレクトリクルーティングの一つである「就職サイトを通じた企業からのアプローチ」から入社に至るケースも1割程度あり、無視できない存在となってきている。このルートは今後さらに重要性が増していきそうだ。

【図表5-1】面接まで進んだ企業への応募ルート

 

【図表5-2】入社予定の企業への応募ルート

 

 

内定承諾の基準は条件面より事業内容や仕事内容を重視する傾向

次に、内定承諾の決め手について見ていこう。「内定承諾の決め手」については、「事業内容」が最も多く62%となり、次いで「仕事内容」が55%、「企業規模」が46%などとなっている。上位2位は6割前後の理系院生が挙げており、条件よりも仕事ベースで入社企業を選ぶ学生が多い傾向がうかがえる(図表6-1)。3月調査の結果では、文系学生は「仕事内容」が73%と最多で、次いで「会社の雰囲気」と「事業内容」がともに60%となっていることからも、「事業内容」や「仕事内容」の項目については文系・理系関係なく、学生が入社する企業を決める際に重視される要素となっている。
理系学生は自身の専門分野を活かせるかどうかも重要な判断軸になりそうだが、この点についてはどうだろうか。
「学生自身の研究テーマ・専攻分野と入社後の業務の関連性」については、「自身の専攻分野の知識を一部活かすことができる」が最も多く41%、次いで「自身の専攻分野と関連が深い」と「ほとんど関係ない」がともに22%などとなっており、「自身の具体的な研究テーマと関連が深い」(10%)から「自身の専攻分野の知識を一部活かすことができる」までを合計すると73%と7割以上が自身の専攻分野に関わりのある業務を選んでいることが分かる(図表6-2)。

【図表6-1】内定承諾の決め手

 

【図表6-2】大学での専攻・研究テーマと入社予定の企業での業務内容の関連性

 

最も志望度が高まったタイミングは「インターンシップ」

最初から入社したい企業を心に決めている学生も中にはいるだろうが、多くの学生は面接等の選考過程を通して志望度が変化していくのが実際であろう。ここでは、学生の企業に対する志望度がどのようなタイミングで変化していくのかを見ていこう。
まず、入社を決めた企業を以前から知っていたかどうかについては、「以前から知っており、もともと入社を希望していた」が24%で、「以前から知っており、就職活動の中で志望するようになった」が50%であり、これらを合わせると74%と7割を超える学生が「もともと耳にしたことがある企業」に入社を決めている。一方、「就職活動開始以前は存在を知らなかった」は26%となっており、知名度が高くない企業が学生の入社したい企業の選択肢に食い込むにはかなりの努力を要するだろうが、4分の1の学生はもともと知らない会社への入社を決めている(図表7-1)。
では、どのようなタイミングで学生の志望度は高まるのだろうか。
入社を決めた企業について、「最も志望度が高まったタイミング」を尋ねたところ、「インターンシップ」が最も多く28%、次いで「採用面接」が23%、「説明会・セミナーでの説明」が19%などとなっている(図表7-2)。
上位2つはともに、学生にとって社員と双方向のコミュニケーションをとれる場面である。コミュニケーションの密度が高いこれらのタイミングを、いかに学生の志望度を高めるために活かせるかということが企業にとっては重要になってくる。ただし、ほとんどの学生が参加しているインターンシップで志望度を高めた理系院生が多いものの、学生は複数の企業のインターンシップに参加する傾向があるため、より充実した内容のインターンシップで他社と差別化し、学生の心を掴むことが求められる。

【図表7-1】入社予定の企業を知ったタイミング

 

【図表7-2】最も志望度が高まったタイミング

 

【調査概要】

アンケート名称:「HR総研」×「LabBase」理系学生(院生)の実態調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、LabBase(株式会社POL)
調査期間:2020年7月6日~12日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:LabBase会員である理系学生(修士2年生)
有効回答:568件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
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