第21回:「1on1の指導」の壁をぶっ壊す

人事のレガシー21:「丁寧に仕事のコツを伝える」
レガシーを破る視点:「コツを【効率】と【効果】に分け、上司と部下それぞれで書き出し、すり合わせる」

■指示はひとつで終わらないのが現実

部下に対し、指示を細かくたくさん積み重ねると、指示を受ける側はその指示を覚えきれずに頭がパンクします。

しかし、わからないとは言えないので「わかりました!」と言ってしまい、またミスを繰り返します。

ゆえに、指示は「目的・コツ・理由」をセットにして伝えるのが要諦だと、「連載第9回:OJTの壁をぶっ壊す」で具体的に解説しました。

確かにその通りなのですが、部下指導は「たった一つの指示」で終わることは少ないのが現実です。「目的・コツ・理由」も沢山重ねると、結果は同じく、相手の頭はパンクしてしまうのです。

■コツは「効率」と「効果」の2種類ある

仕事のコツは2タイプあります。

ひとつは【効率:作業をうまくやる方法】です。

正解があり、上司や先輩の指示をもとに効率的に作業をこなすことが求められるものです。「ショートカットを覚えて作業効率をあげる」というようなものがこのコツになります。

これは、指示通りに実行してもらうと比較的すぐ成果が出やすいので、確認も容易です。

やっかいなのは、もうひとつの【効果:業績や成果をあげる方法】です。

これは、効率をあげていく方法と同じ指示や確認方法だと、うまくいきません。ナンパをするノウハウを沢山覚えても、実際にやってみると知識や効率をもとに声をかけながらも、経験からくる勘所を合わせて身につけたコツと、その使い方の取捨選択が同時に求められるからです。

【効率=作業】は、比較的すぐ結果が出て右肩上がりに一定水準まで成長しますが、【効果=成果・業績】は、タクシーの運転メーターのようにある一定レベルに熟するまでは料金が上がらず、タイミングがきたら一気にポンとあがる感覚に近いです。

 

■「どうすればできるか?」から確認する

確認する時、【効率】は一発です。正解がある作業なので「どうすればいいか?」でOKです。

【効果】は「どうすればできるか?」の視点で確認しましょう。【効果】は、作業を積み重ねるのではなく、コツの押さえ方と組み立て方がキーになるからです。

キーは、「なぜ?なぜ?」と最初に原因を聞かないこと。

トヨタや外資系コンサルタントのように「なぜ?」と議論する習慣がない限り、「なぜ?」と言われると「自分が責められている」と感じるのが普通の感覚で、人は責められたと感じると、防衛心理が働きます。課題解決に向けた思考が止まってしまい、逆にその場から逃れることにクリエイティビティを発揮するものです。

 

遅刻の理由はたくさん思いつくことと一緒です。人の脳は、焦点をあてたところにクリエイティビティを発揮するようになっているからです。

「どうすればできるか?」は、遅刻の理由を考えるより、どうすればいいかを考え、その通り動いたら遅刻しなかった、というように解決する方向や方法に焦点をあてるアプローチで、「ソリューション・フォーカス」(解決思考)と呼ばれるものです。

 

先進国だけでなく、アジア、中東、アフリカなど全世界共通で活用されています。【効果】を出す時は、一つの正解と思える方法だけでは、通用しなかった場合にお終いです。正解がある【効率】とここが一番違います。あの手、この手を思いつき、スジが良いものを選ぶ、この発想力を得るには「どうすればいいか?」から考える癖をつければ鍛えられるのです。

コーチング的に「どうしたいのか?」はNGです。これでは「あり方」はでてきますが、ややもすると、「逃げずに頑張る」という精神論や「べき」論・正論に流れてしまうことがあるからです。精神論だけではなく、乗り越える方法論を生み出す力が必要なのです。

「どうすればできるか?/解決するか?」といった打ち手を考えることでコツをおさえているかわかります。

 

■優先度、コツ、内容を書き出して確認する

次はコツの組み立て方です。プロレスでもいきなり必殺技は決まらないように、コツはおさえるだけでなく、組み立て方によって成否がわかれます。組み立て方の勘所の確認で一番簡単なのが、お互い書き出して突き合わせてみることです。上司と部下で比較した方がその違いがハッキリわかります。順番だけではなく、部下は自分の経験値のフィルターを通して理解するので、上司や先輩が意図した通りかも確認できます。

 

<進め方>

①部下にどうすれば成果がでるか、箇条書きで書いてきてもらう(本人が書く)。

上司や先輩も同様に、成果の出し方を箇条書きにして準備する。

 

②部下が書いた箇条書きと上司や先輩が書いた箇条書きを突き合わせる。

上司や先輩の成果の出し方と違うところがよくわかる。

そのギャップを踏まえて、上司や先輩の成果の出し方を教える。

たったこれだけです。事細かく書く必要はありません。勘所をさらさらと数行の箇条書き程度で大丈夫です。キーとなるステップの順番や内容の確認が先決だからです。情報量は少なくして重要なことを中心に確認すればいいのです。当然、一文一句が一致することはないので、部下に上から順番に解説してもらいないがらも、「目的・コツ・理由」のコツは何かを部下の言葉で語らせて確認し、視野や理解度を確認した上で、上司や先輩が成果の出し方を教えてあげれば、ムダなく伝えることができます。

注意点は、フィードバックする時です。愛があっても駄目出しすると、部下は思考停止してしまいます。ダメだった点は率直にフィードバックするとともに、「こういう解決策があるよ」と、解決策をセットにすると素直な理解が深まります。

[レガシーの壁を超える人事の取り組み]のバックナンバー

メディア掲載実績

共同調査 受付中。お気軽にご相談ください。

共同調査の詳細はこちら 共同調査のお問合わせ その他のお問合わせ