第25回:「女性活躍」の壁をぶっ壊す-女性のロールモデルは社内より社外-

女性のモデルロールは社内ではバリエーションが少なすぎる

「女性のロールモデルになる人が社内にいない。もしくは少ない」という声はよく聞かれます。実際に企業にアンケートを取ると、その結果は一目瞭然。上位のリクエスト項目にあがってきます。

しかし、既存の女性リーダーは、男性社会のなかで戦って勝ち上がってきた人が大半です。女性管理職第一世代は、とにかく結果を出さなければと、男以上に働き、先人ゆえの苦労を重ねてきています。

「女性は家庭に入るもの」という感覚がまだ残っている時代に社会人になった人が大半であり、今の第二世代とは背景が大きく異なります。自分に続く後輩女性のためを思い、自らの苦労を語れば語るほど、「先輩としては尊敬しますが、あなたのようになりたくない」「あなたはスゴすぎます。私はあなたのようになれない」と、「先輩と同じようにはできない」「管理職なんかになりたくない」という傾向になることが実は多いのです。

加えて、女性脳は「横のフラットな関係、仲間意識」が「上下の関係」よりも強く働きます。そうなると、どんなに仕事ができて人格も素晴らしい模範的な女性リーダーの先輩がいても、共感できる要素を認めた上で仲間意識が芽生えないことには、その人にはついていかないのです。

男性脳は「上下」を意識するので、目上の成功者のアドバイスを素直に聞きますが、女性脳は「共感と仲間意識」が生まれない限りは、ついてはいかないのです。社内にロールモデルがいないからと、社外で活躍している一流の女性リーダーをお招きして語ってもらうような機会を設けても、その人のファンになるかもしれませんが、自らもその人のようなリーダーになりたいと思うかは別問題なのです。

モデルロールは社外で探す

女性の場合、ふさわしいロールモデルは「同じような環境、価値観で、数年前に同じような経験をして乗り越えた先輩たち」であり、精神論ではなく親近感と具体案を出してくれる人が一番です。

その点からすると、「ゆるいつながり」が一番物事を相談しやすい関係といえます。

ワーキングママでリーダーとして活躍したい・している方々が集まっているような会で知り合った仲間と、SNSで軽くつながっているくらいの関係が一番相談しやすく、時代感の伴った具体的なアドバイスをいただけるのでありがたい、という声は多く聞かれます。

普段いつも顔を合わせている関係だと、お互いのことをいろいろ知りすぎて「強いつながり」になってしまいます。日頃の仕事ぶり、性格、人間関係、プライベートのことまでお互いに知りすぎると、逆に女性管理職育成の参考になるロールモデルには向かないことも多いのです。

従って、社外の女性リーダー・リーダー候補をロールモデルにすることが有効策の1つになります。

社外でロールモデルを探す勘所

働き方や価値観に気づきのヒントや勇気をくれる何人かの存在がロールモデルであり、必ずしも「あの人みたいになりたい!」という絶対的な1人に絞り込まなくてもいいのです。それぞれ参考になる要素を備えた3人程度を組み合わせるのが現実的です。

社外のロールモデルは2つ以上持たせる

「子どもが…」「復職にあたり…」など目の前の具体的なことで、すぐに役立てたいアドバイスは、子どもの年齢から5歳程度上までのワーキングママの集まりがいいでしょう。先輩自身が、ついこの間まで同じように悩み、前に進んできたばかりなので、具体的且つ今すぐできる行動レベルでアドバイスがもらえます。

女性脳は、男性脳のように先々を見据えてキャリアプランを考えるよりも、今を大事にしながら、少しずつご縁を重ねてキャリアを考える傾向があります。実際、子育てが始まったら「この子が3歳になるまで」とか、「小学校に入るまでは専業主婦として子育てに集中したい」などと産休前のキャリア観が変わることもよくあります。

従って、「共感できる女性の先輩」もロールモデルとして用意しましょう。10歳程度の先輩。30代中半がターゲットなら40歳中半で活躍している社外の女性リーダーが適任です。子どもが10年後、成長したくらいのイメージが持てるし、世代特有の価値観や共感も理解できるからです。これ以上年齢差があると、時代感が合わなくなるリスクが出てきてしまいます。

 

企業内で活躍している先輩が多い団体から選ぶ

女性は復職後、時短勤務になることが多いのですが、企業側のフォロー体制はまちまちです。場合によっては、育休明けに退職したり、身の丈でできる起業を考えたり、転職する人も少なくありません。

企業側からすると、ワーキングママを対象に独立や転職を進める団体の活用は、ミスリードになります。見極めるコツは、「ワーキングママ向けの起業塾」を開催していないこと、となるでしょう。人材紹介系が母体だったりその卒業生が運営しているところも、参加者の動きを見ておく必要があります。結局、その運営会社に関わる会社に転職したりしているケースが多ければ、要注意です。

NPOなど、収益を目的にしていないところは健全な運営の1つの目安になります。

会社から社員に勧めるのであれば、趣味サークルではなく、一流の講師から学び、つながることができる団体を選ぶべきでしょう。

育休プチMBA勉強会(https://www.facebook.com/ikukyu.mba/)をはじめ多数存在します。ワーキングママが参加しやすい日時や短時間の一流講師による勉強会があったり、リアルプロジェクトのケースを用いる等、実践的にビジネスのスキルもアップしますし、一緒に汗をかきながらの同志の仲間もできるからです。キッズスペースもあり、赤ちゃんがいながらでも学べるように用意いただけることも特徴です。オープン講座も用意されていたりするので、ピンスポットの参加も可能なことから、ワーキングママたちからも喜ばれているようです。

SNSと勉強会をうまく連動させる

ワーキングママ向けの団体を紹介し、活動を見守るだけでなく、お互いの悩み、気づき、学びを共感し、エンゲージメントや職場復帰へのモチベーションにつなげていくには、社内SNSを活用するといいでしょう。初めての子育てとなると不安になるものです。産休前から育休明けに向けた事務手続きだけでなく、 家庭で子どもと2人きりの時間が長くても、ワーキングママの先輩たちとも社内SNSでつながっており、「1人ぼっちではない、孤独ではない」心理状態が維持できるとホッとするのです。

子育て経験の豊富な親世帯と同居しているケースは、現在では稀です。同じような状況のワーキングママや育休中の方々にちょっとしたことを相談できれば、ずいぶん助かるでしょう。社内SNSでワーキングママ用のグループを作り、メーリングリストのようにちょっとしたことでも気楽に相談できる環境を整備することをお勧めします。外部の勉強会で学んだことを共有するグループを作ることも、効果が高いです。子育ては子どもが成人になるまで続きます。育休明けの時短勤務者に目が行きがちですが、ワーキングママ人生は長く続きます。

「どんな講座のどんな内容が役に立ったのか」という活きた情報は、女性が管理職を目指していくうえで最も重要です。「ワーキングママの先輩がそう言うのなら、私も受けてみようかな」という学びのバトンが渡されやすくなります。ある団体の「リーダーコース」を毎年数名で受講し、その学びを社内のSNSでアップして伝承することもいいし、社外講師を取り入れたオリジナルのプログラムをデザインし、社内SNSをプラットフォームにして展開するのもいいでしょう。

社内SNSが既に導入されていればそれを活用すればいいし、なければFacebookのクローズのグループ機能を活用する等、自社に合いそうなものを選べばOKです。

いずれにしても、産休、育休、時短勤務、子育て、キャリアについて一人で悩ませず、逆に気をつかわせない、ゆるい距離感で繋がれるように工夫してみるといいいでしょう。

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