第19回:チームマネジメント①「褒め方、叱り方」の壁をぶっ壊す

令和になった今でも「人事のレガシー」という亡霊に取りつかれたまま、思考停止している日本企業の人事によくお会いします。
第19回目はチームマネジメント①「褒め方、叱り方」に焦点を当てます。

◆人事のレガシー19:「褒め方、叱り方を研究し、注力する」
◆レガシーを破る視点:「テーマを課題と期待にわけ、伝え方を変える」

「山本五十六」から見る、部下との効果的な接し方

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ(山本五十六)」のように、上司や先輩には、指導方法だけではなく、褒め方、叱り方等、部下との効果的な接し方も求められるようになりました。

今のご時世、上司がよかれと思ったことでも、パワハラ、セクハラ認定されることも多く、学習する機会が必要だからです。課題図書を読んでもらう、研修を受けてもらうように義務付けても、一番忙しく、しわ寄せがくるのが中間層です。

そう、中間管理職は忙しいのです。現場で自ら動いて結果を出さなくてはいけないプレイヤー面も持っています。確かに、褒め方、叱り方はうまくできたらいいですが、現場で試す余裕をなかなか持てないのが実情です。

ボクシングジムの会長のような強面の上司が、笑顔で褒めてきたらかえって不気味で逆効果です。人事からのアドバイスとしてコミュニケーションテクニックを教えてあげても、本人のキャラとの相性があります。

MBAでも教えないような細かいテクニックを大量に教えてもパンクするだけです。中間管理職は、コミュニケーションの専門家のように、毎日コミュニケーションのマニアックなノウハウを研究し、覚える余裕はありません。ビジネスで結果を出すのが本業だからです。

ゆえに、部下とのコミュニケーションもシンプルで応用が利くノウハウのみに絞ることが正解です。

「感謝」することが一番人を動かせる

人を一番簡単に動かすのは「感謝」することです。人は相手から感謝されると気分がいいし、感謝された事を繰り返したくなる習慣も持っています。

「感謝」と「褒める」ことの効果は一緒ですが、「褒める」は上から目線になりがちです。年上の部下を褒めたり、叱ったりすると年下の上司は気苦労しますが、「感謝」なら簡単です。

「感謝」してくれる人を嫌いになる人はいません。

このように、一粒で効果の範囲が広く、シンプルで使いやすいノウハウを1on1や評価フィードバックの仕組みに取り入れ、その通りに進めてできるようになってしまうことが得策です。

「感謝」の活用法を知ればネガティブなことも前向きにフィードバックできる

人は自己評価以上の評価をもらったり、褒められたり、感謝された時には、相手の言うことを素直に聞き、納得しやすいのですが、その逆が一番揉めるのです。今回は、面談でポジ・ネガ、両方が想定される時のフィードバックのコツを紹介します。

A. 「課題」と「期待」を使いわける
日本人は仕事と個人を切り分けて考えることが苦手です。「会社の価値観とそれは違うよ」と個人の価値観と会社の判断基準である価値観の違いを指摘されただけなのに、自分の全人格まで否定された気分になります。仕事でミスした時も同様です。

上司は部下の人格を否定しているわけではありませんが、そう受け取られてしまうと損なので、切り分けるコツを紹介します。同じ現象を「課題」と「期待」に分けて話をすればいいのです。

課題:仕事面で使う言葉(できた/できない等)
期待:被評価者に向けて使う言葉

「期待」は、「課題」を読み替えます。

部下に対し、やって欲しいこと→こうなって欲しいことといった、「成長に向けた育成テーマ」に変換しましょう。

伝えるコツとしては、やって欲しい事とメリットをセットにすることです。
人に対しては「期待」で伝えた方がスムースに納得し、行動してもらいやすくなります。

例:時間を守らないとダメだろう(×)
→ 時間を守ると応援が増えるよ(○)

時間厳守をしてもらうことが啓発課題だとしても、上は「自分でも反省しているのに怒られた。面白くない。でも自分が悪いので仕方ない。時間を守るよう、気を抜かずに頑張ろう。」となりがちですが、下は、「応援が増える」等、マイナスからゼロではなく、プラスになるメリットを感じますし、ネガティブな気分になりません。

同じことなら、人は前向きな未来やメリットを感じさせてくれる人の意見は聞くし、ついて行くようになります。

B.Yes/Butの順で話す
そうは言っても、部下の考え、意見、判断が違う時もあります。指導が必要な場面です。その場合は、Yes/Butの順で話すといいです。
「その考え、いいね。でも、こうするともっとよくなるよ。」と指示してあげたり、
「その考え、いいね。でも、この視点から見るとどうなる?」と考えさせてあげれば、自分と違う意見ややり方も前向きに受け取ってもらいやすくなります。

コツはYesから入ること。「褒め」が先です。「褒め」から入ると、相手はポジティブに受け入れるようになるからです。相談や率直な話し合いがしやすい良い雰囲気をつくれます。

褒められた後の「期待」・「課題」は受け入れやすくなるのでスムースです。
褒めることは難しく考えず、端的になんでもいいです。

「いつもありがとう」と感謝、「目標達成して凄いね!」と成果、「いつもポジティブに最初に動いてくれるね」と動き、「いつも前向きだね」とマインド、なんでもいいです。長々いうと白々しくなるのでさっと一言がコツです。

褒めることや期待することはとっさに出てこないことも多いので、褒めること、期待すること(3つ程度)を事前に書いて整理しておくことをお勧めします。

C.「期待」を使いこなす
良い面談やフィードバックは「期待」がセットです。人は期待されると前向きになれます。

期待とは相手の可能性を信じることにもなるからです。「飯田くんならこれができるよ、期待しているよ」と、「期待しているよ」を声に出して伝えていきましょう。

面談で期待は、未来に繋げ、組織に繋げていきましょう。1年後、5年後、10年後、どんな明るい未来があるか、一緒に描くかです。強いチームは皆で一緒に明るい未来を議論します。自分が描く未来が前向きなもの、明るいものになると、それだけでも期待感があがります。

「成果を出したければ、組織のことを考えよ」は(ドラッカー:経営者の条件)の言葉です。

個人で成果を出すだけでなく、すごい成果をあげるために、組織の貢献から考えることで目線合わせをすることが要諦です。個人の頑張りは組織がよくなること。組織の成果が大きくなれば、個人の成果も上がり、応援し合えるようになるという視点を共有することが、明るい未来を描くことになります。

誤解があってはいけませんが、現実逃避することではありません。過去ばかりを話す。過去を振り返り、良かった、悪かった点を見ることは悪くはないし、必要ですが、ここに留まっていてはいけないということです。

それ以上に大事なことは、未来を話すことです。未来を語るには意志がいります。「どうすればできるか?」を考えると前向きになり、未来志向になるのでお勧めします。

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